ごあいさつ

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2018-03-07 16:25:00

 花粉症の治療として一般的によく知られ、医療機関でも基本的な治療法として実施されているのが、内服薬や点鼻薬、点眼薬などを使う薬物療法です。日本アレルギー学会でも、最初の治療として推奨しています。薬剤によって原因となる物質の放出を抑制したり、神経や血管に作用するのをブロックしたりすることで花粉症の症状を和らげる対処療法で、くしゃみや鼻水には「第二世代抗ヒスタミン薬」、鼻づまりには「抗ロイコトリエン薬」や「鼻噴霧用ステロイド薬」、というように症状に応じた薬剤が処方されます。また、2014年からは、薬剤を定期的に飲む「スギ花粉舌下免疫療法」という方法も始まり、治療法にも幅が広がってきました。

 最近SNSなどで「注射1本で1シーズンの症状が抑えられる」とされている治療法が話題にあがっていますが、この”1本ですむ注射”というのは、実は「ステロイド注射」のことなのです。ステロイドは非常に強い免疫抑制作用があり、免疫反応の一種であるアレルギー、花粉症も抑えることができます。ただし、その高い作用と引き換えに、副腎皮質機能低下や皮膚障害、月経異常など多岐に渡る副作用も起こりえます。免疫が抑制されるため、感染症への抵抗力も落ちます。日本耳鼻咽喉科学会や日本アレルギー学会は、他に副作用の少ない治療法が多数あり、ステロイド注射は一般的にはすすめられない、としています。 1回の注射程度であれば問題ないとの声もありますが、厚生労働省科学研究班が「リウマチ・アレルギー情報センター」で公開している調査では、ステロイド注射をした花粉症患者数十人のうち、結局1回では効果がなかったとして1シーズンに3回以上注射をした人は約40%にのぼると報告しています。時間はかかっても、治療ガイドラインに沿った抗アレルギー薬を服用したり、点鼻薬や点眼薬のような少量の局所的なステロイド薬を使用する治療法がよいでしょう。